矯正治療単独では治療が難しい症例(顎変形症)に対し、あごの骨の手術を併用して、かみ合わせを改善する治療を外科的矯正治療と言います。
治療の流れ
通常の矯正歯科治療に加えて、顎矯正手術が加わります。治療の流れは、術前矯正治療→顎矯正手術→術後矯正治療となります。
初診相談
患者様の状態を診て、現在の問題点、考えられる治療法などをご説明いたします。また、手術を併用した矯正治療が考えられる場合は、手術についても簡単に説明いたします。
検査
2回に分けて検査を行います。1回目の検査では、X線写真撮影(側面・正面頭部X線規格写真、パノラマレントゲン写真等)、歯型、口腔内写真、顔面写真などの検査、2回目の検査では、あごの運動検査やあごの筋肉(咀嚼筋)の検査を行います。
診断
検査結果をもとに、治療方針、治療期間、治療費についてご説明します。
この段階で、外科的矯正治療を適応するか患者様と相談します。
口腔外科受診
治療を開始する前に手術を依頼する口腔外科を受診することが必須となります(当院で資料や紹介状を準備致します)。当院で提示した治療方針・手術術式などを口腔外科医に確認して頂き、詳しい手術の説明も行ってもらいます。また、必要に応じてCTなどの検査や親知らずなどの抜歯も行って頂きます。
術前矯正治療
手術を行ってあごをずらした時にかみ合わせが安定するようにマルチブラケット装置を用いて歯をならべます。そのため、術前矯正治療ではかみ合わせがむしろ悪くなり、咬みにくくなります。術前矯正治療の期間は1年~2年前後です。
手術日程決定
術前矯正治療のめどが立ってきた段階で、口腔外科を再度受診して頂きます。施設によって多少異なりますが、術前検査(心電図、血液検査、尿検査、胸部レントゲンetc.)、自己血貯血(術中の出血に備えて自分の血を採って貯めておくこと)などの処置を行い、数回通院して頂きます。
入院・手術
手術の数日前より入院し、手術を行います。
術後の入院期間は通常1~2週間となります。(術式や患者様個人の回復状態により異なります。また、施設によっても異なります。)
術後矯正治療
手術で移動させたあごの位置で上下のかみ合わせを整えます。
術後矯正治療の目的です。術後矯正治療の期間は半年~1.5年前後です。
動的治療終了(矯正装置を外す)
かみ合わせがしっかりと出来上がり、あごの骨の後戻りも見られなくなったら、矯正装置を外します。治療が終了した直後の歯は安定せず元に戻ろうとするため、後戻り防止装置である保定装置(リテーナー)を装着します。
保定治療、経過観察
咬合状態の経時変化を診察していきます。保定装置の調節およびメインテナンスクリーニング等を行います。保定装置は最低2年間使用し、通院の頻度は3〜6ヶ月ごとになります。
プレート除去術
術後1年以降であごの骨の戻りが落ち着いた時期に手術であごの骨を止める時に用いたチタン製のプレートやスクリューを取る手術を行います。この手術は必ずしも全員の方が行うものではありません。口腔外科医の先生とご相談して決めて頂きます。手術自体は、最初の手術と異なり、患者様の負担も入院期間も少ないものとなります。